両手打ちバックハンド 薄いグリップで打つ工夫

薄いグリップで両手打ちバックハンドを打つ

引き続き、両手打ちバックハンドを比較的薄めのグリップで打つことを考えていきます。

ただし、これは普段使わない応用技術や参考情報などではなく、きちんとメリットのある普段から使っていける両手打ちバックハンドの打ち方として考えるものです。薄いグリップで打つなんて参考にならないと思われるならテニスに対するご自身の理解はそれ以上広がらないでしょう。

ゴルフのスイングを見てみる

薄いグリップでボールを打つための体の使い方を考えるにあたり、ゴルフののスイングを例に上げます。ゴルフは使う道具の特性上、参考にできると考えるためです。

まず、ゴルフのクラブは、テニスのラケット同様にボールを打つインパクト面が決まっています。(野球のバットは360度どの面でも打てますね。)

ただ、長いシャフトを持つクラブを体の回転に伴う回転運動でスイングしてボールを飛ばすためには、テニスのラケットのように “テイバックからボールに当たるまでインパクト面をボールに向け続ける” といった打ち方はできません。

非利き手の薄いグリップでフォアハンドを打つ

クラブをスイングする際は、体の中心軸と頭の位置を動かさないように、両肩を回転させ、テイバックではインパクト面をオープンに開き、スイングでそれを戻してボールにインパクトし、ボールを打った後は逆にインパクト面を伏せていく形でフォロースルーを取ってっていきます。

タイガー・ウッズ選手のドライバーショット

クラブヘッドは小さく、インパクト面の角度を動かしながら速いスイングの中で安定的にボールを捉えるのは難しいのですが、今回言いたいのはゴルフの事ではなくこの “インパクト面をオープンにしてインパクト後にクローズにしてく” という動きです。

テニスで馴染みにある言葉を使えば、この動きは「プロネーション」と逆の動きである「スピネーション」が使われています。(その他、外旋、内旋を含む腕の機能が使われています。)

ゴルフでボールを打つ際の打点の位置

経験のある方は分かるかと思いますが、ゴルフでボールを打つ打点の位置(ボールを置く位置)は “体の中心から非利き手側の足の前(右利きなら左足の前)までの間” です。クラブのロフト(ボールに当たる面の角度)とシャフトの長さによってボールを置く位置は変わり、ドライバーが最も前になりますが、テニスのように体よりも前に打点位置を取ったりはしません。オープンスタンスで打ったりはしますがしっかりと振って打つ場合はグリップも極端に厚いグリップで握ることもないと思います。

ゴルフは専門ではないのですが、体を軸に回転で打ち、軸や頭の位置を動かさず、テイバックとフォロースルーが50対50に近い割合で、体の正面に近い位置でインパクトしないと正確にボールを捉えられないので、極端に厚いグリップを用いてボールを置く位置(=打点の位置)を体の正面から大きくズラしてしまうのはデメリットが大きくなるためかなと思います。

ゴルフのスイングを両手打ちバックハンドに置き換えて考える

ゴルフのスイングを両手打ちバックハンドに置き換えて考えれば、横向きになった際の体の正面(体の中央から右肩の間位)に打点の位置を取り、グリップも極端に厚くはないので、ゴルフのスイングと同様の体の使い方、つまり、 “テイバックでインパクト面をオープン(面を上向きにする)に取り、スイング開始時にインパクト面を戻してボールに向けていき、インパクト後は右手から左手へスイングを主導する役割が切り替わる中で左手をプロネーションさせてインパクト面をクローズド(面を伏せる方向)に切り替えていけばいいのではないか” と考えられます。

最近よく見る両手打ちバックハンドでラケット面をオープンにするテイバックの取り方

個人的にこの事が当てはまった事象だと考えているのが、最近、両手打ちバックハンドでよく見られる『ラケット面をオープン(上向き)にした状態でテイバックを取る打ち方』です。

二人の内、とくにチリッチ選手は左手のグリップがかなり薄いですね。

私は両手打ちバックハンドを習ったことがありませんが、従来からの両手打ちバックハンドの打ち方で言えば “テイバックからスイング開始に移る際インパクト面は伏せる” と言われていたと思います。

ラケット面を伏せる理由として「トップスピンがかかりやすくなるから」と言われたりしますが私は面を伏せることがトップスピンをかける事に繋がるとは考えていません。

初心者の方などインパクトにおけるラケット面の向きや角度が上手く作れない、安定したスイング軌道が作れない場合の矯正としてテイバック時にラケット面を伏せさせるというのは分かりますが、人が意図的な或いは誤った握り方や操作によってラケット面をスイング軌道からズラさい限りは、加速し速度を得たラケットは慣性の力で自然とボールに向かって行きます。

少々極端ですが、テイバックでインパクト面がオープンだろうがクローズド(伏せる形)だろうがリラックスしてスイングできればインパクト面はスイング中に自然と修正されてボールに向かっていくと思います。

インパクト面をオープンにして戻す動作はバックハンドスライスでも使われている

このテイバックでインパクト面をオープンにしスイング開始で引き起こす動作は 片手打ちのバックハンドスライスでも使われていますから、突拍子もない新しい事柄でもありません。

テイバックでラケット面をオープンに取るとラケットヘッドが大きく動ける

ゴルフのテイバック同様、前腕とラケット(ゴルフならクラブ)の間に角度があるとゴルフで言う「コック」ような形が取れます。片手で打つバックハンドボレーでもそうですが、前腕とラケットに角度(手首部分)を保つように言われますね。(“ラケットヘッドを立てろ” “ラケットを寝かせるな”とか)

フォアハンドボレー1

前腕とラケットが一直線になってしまうと肩関節や肘関節つかってラケットを動かすしかなくなり力が入れられません。

前腕とラケットが一直線になる

前腕とラケットに角度が付けば自然と肘にも角度が付くので、腕の関節を使った「内旋・外旋」や「回外(スピネーション)・回内(プロネーション)」の動作が使えるようになってラケットをしっかり振ったり支えたりできるようになるからだと考えています。

また、このラケットをコック (担ぐ)ようにテイバックすると、テイバックで予めボール方向にインパクト面を向けておく(或いは面を伏せる)形を取るよりも “テイバックからインパクトまでのラケットヘッドが動く距離を長く取れる” と感じています。(見た目でもわかりますよね。)

両手打ちバックハンドテイバック

ただ、この「ラケットヘッドが動く距離を長く取れる」と言うのは「大きな軌道でラケットを振る、ラケットを大きく振る」ということではありません。“両腕が体から離れたり大きく動いたりするのではなく最小限の動きの中でラケットヘッドの動く距離だけ長くなる” ということです。

円周運動の中心から遠い物体の方が同じ時間で同じ角度を動く場合の速度は速くなると書きましたが、速度を上げるにはエネルギーが必要で逆に中心から近い位置にある物体の方が加速に必要なエネルギーを小さくて済みます。フィギュアスケート選手がスピンする際、両腕をたたんだ方が回転が速くなるのはそのためです。

このため、短い距離で加速を得る必要があるテイバックからの振り始めの段階ではラケットは体から近い位置に置き腕も体に近い位置(スムーズに動かせる余裕のある位置)から振り始めることが重要で、体に近い位置から振り始めたラケットは加速と遠心力によりヘッド側が外側に膨らみ更に速度を得ます。

ゴルフのスイング同様、体の回転伴うスイングにおいては、スピネーションとプロネーション、外旋と内旋を含む腕の腕の機能を使い、テイバックで腕のインパクト面をオープンにした状態からインパクト面をボール方向に戻していく形のスイングを取るのはラケットの十分な加速とラケットが慣性の力で安定的に進んでいこうとするのは利用する意味でも有用なスイングの仕方(体の使い方)だと思います。

テニス、両手打ちバックハンド、前腕を捻る形でテイバックする

テニス、両手打ちバックハンド、前腕を捻る形でフォロースルーする

非利き手側(左手側)のグリップを厚くしていくとラケット面をオープンにしてテイバックしてからボール方向に戻すまでの回転角度が大きくなりすぎしまいます。(厚いグリップで片手バックハンドスライスを打つようなものでしょうか。)

体や腕の使い方を確認するためには体の真正面にボールがあると思って左右均等の捻る動きを行ってみることだと思います。体を捻ってテイバックし、軸や頭の位置を保ったままスイング、フォロースルーまで行う流れや体、腕の使い方はゴルフのスイングが参考になります。

体の使い方が分かってきたら、左手側のグリップの角度を変えていくことで打点位置を真正面から右足側に動かしていけるので体の回転に伴い加速したラケット特にヘッド側の速度が落ちない範囲で打点位置を設定すればいいかと思います。

まとめ

繰り返しになりますが「自然と加速し速度を持ったラケットの動きを邪魔せず、十分な速度を保った状態でボールにインパクトし、そこからボールを飛ばすために10cm以上ボールの打出し方向にラケット面を動かしていけること」が狙いです。

フォアハンドも同様ですが恐らく厚いグリップで打つ方がインパクト面を作るのは楽です。しかし、やや薄い位のグリップで体から遠くない位置でボールを捉えられることを考える方がラケットの加速度、速度を保った段階で打つ、ラケットヘッドの動きを活かすといった事ができるはずです。(現代的なフォアハンドを言われる打ち方はこういった要素が前提になっていると考えています。) 単にグリップを薄くするのではなく体の使い方も含めて考えないと上手く打てないと思います。でも難しい訳ではありません。片手バックハンドスライスの例を見ても分かるように特別なものではないです。

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