トップスピンの必要性

トップスピンは、ボールの速度が速いことで、打ったボールが相手コートのライン内に収まらずアウトしてしまうのを防ぐことが基本にあります。回転をかけることでしっかり振り切ってもボールがライン内に収まるので「飛距離を調整する」という意識や操作をせずラリーに専念できます。回転をかけることで意図的により距離に着地させる、短い距離でもネットを越すといったことはその応用ですね。

今は初心者の段階から “スピンをかけて打て” と教わりますが、ボールが飛ぶ理由で書いたようにラケット面はボールを打ち出す角度の真後ろから90度の角度で当たるのが最もボールを安定して捉えられると言われており、その角度はズレても5~6度の範囲に納めないと当たりが安定しなくなります。

この角度は回転の有無には関係しません。(回転をかけるため、打ち負けないためにラケット面を被せるという話がありますが5~6度の範囲に収めなければ当たりが不安定になるだけです。)

トップスピンをかけて打たなければならないという認識から来る回転をかける操作、及び回転をかけたいと思う気持ちが結果的にインパクトにおけるラケット面の角度や向きを都度変えてしまい、本来できるはずのインパクトの正確性を失わせます。

仮に、ボールを打ち出す軌道を上げることで、かなりゆっくりとした速度でラケットを振っても十分相手コートのベースライン付近まで届きます。ゆっくり振れる訳ですからボールにも当たりやすくなります。このため、トップスピンという考え方がなく全てフラット系のストロークでボールを打っていた昔の方が、ラリーの速度は遅いながら、初心者の段階からもっと安定してストロークが打てていたかもしれません。現代の “スピンをかけて打つのが常識” という固定概念が、ボールを正確に捉えるという基礎的な部分の習得を難しくしているのでは? と感じます。

実際にスクールで見ていても、初心者から暫くの間は、力でどうにかしようとする男性より、スイングスピードが上げられないためにボールスピードも速くない、回転を多くない女性の方がフラット気味の高い軌道のボールでよほど安定してラリーを続けられることが多いです。(多くの男性は速いボールが打つのが自分のやりたいテニスだと思っているし、ゆっくりラケットを振るということが “力を抜く” ことのように感じてしまいうまくできません。女性もそのスイングスピードが普通で力を抜いて振っている訳ではないですからね。)

個人的には、初心者の段階でまず教わるべきは「体の使い方」と「ボールが飛ぶ理屈」でそれを体感するためにはフラットでボールを飛ばすことを体感すべきでは? と思っています。

ボールを捉えやすく力を伝わるのも実感しやすいフラットでボールを飛ばせるようになれば、インパクトの際にボールの中心より上半分に少しでも強く力を加えることができればトップスピンを体感できるようになります。

トップスピンの練習として教わるボールの下側から上側にラケットを持ち上げるようにして打っていてはボールに当てるのが難しくなりますし、何故ボールは飛ぶのか、何を基準にすればいいのかが分からないまま、うまくボールが飛ばない、当たりが安定しないと悩むことになります。