プロのスイングを参考にする

プロ選手を参考にする

多くの人にとってテニスは難しく、上達に時間がかかることが殆どなので、上達を目指す際に誰かの打ち方を参考にしたい、マネをしたいと思います。周りの方も参考にするでしょうが一般的にはTVやYouTube等で見かけるプロ選手に目が向きます。

私が初めてテニスをやった20年前は雑誌に載る連続写真を見たりしていましていましたが、今はいくらでもプロ選手の動画を見ることができ本当によい状況です。

「学ぶ」という言葉は「まねぶ」から来ているそうなので、自分でどうやったらいいのか分からない場合、まずは人のまねをしてみるというのは上達に役立つものでもあります。

ただし、私は、見た目の「形」をそのまま再現しようとすることにほぼ意味はないと思っています。理解すべきは体の仕組みや構造と体を使ってスイングするということです。プロ選手のスイングをそのまま再現しようとするのは「形態模写」の芸を磨くようなもので「見た目」と「本質」といった大きな違いがあります。

テニスを教わる際、様々な場面で「形」を示され、それを再現するように言われるのでこの違いを理解しておかないと無駄に上達の遠回りをすることになります。

どの選手を参考にするのか?

よく「どの選手の打ち方を参考にすべきか?」という話題があがります。答えとしては「フェデラー選手は基本に忠実で打ち方がきれいだから参考になる」とか「体格や筋力の違う男子選手は参考にならないから女子選手を見るべきではないか」とかったものがあったりするでしょうか。

この点について私が思うのは、

1) 女子選手ではなく男子選手を見るべきだろう。

2) 誰か特定の選手だけを見るのではなく、多くの選手の共通点に目をむけるべきだ。

ということです。

男子プロ選手と女子プロ選手の違い

現在の女子プロ選手のNo.1と言えるセリーナ・ウィリアムズ選手ですが、男子プロ選手と試合を行えば、ATP100位の選手にすら一方的に負けてしまうと言われています。

これは筋力や体格、能力、ましてや性別といった点での差ではなくシンプルに男女のテニスの差によるものです。

男子プロツアーで言えば、新しい存在が登場するためにテニスが進化を続けてきた歴史です。20年ほど前から考えても、200km/hを超えるサーブを打つビックサーバーの台頭、それをリターンする技術、ラケットとガットの進化により強烈なトップスピンがかかったボールを延々と打ち続ける試合、ボールの速度を上回る相手の時間を奪うという戦術等々です。途中にはナダル選手という特異な存在の登場もありました。全ての男子プロ選手が新しい存在に対応するための技術を身に着け、自身も同じことができるように進化しています。試合に出ているほぼ全員が200km/h超のサーブを打ち、全員がそれをリターンでき、全員がものすごく回転がかかったストロークをたやすく打ち合う中で勝ち残るのです。そういう繰り返しが男子テニス全体を進化させ続けています。

女子テニスはというと、回転量の少ないストロークを用いるためにネットを超える軌道は低くミスも多い、200km/h近いサーブを打つ選手はごく僅か、上位を占める選手のキーワードは20年前から変わらず”パワーテニス”で体格や筋力のある方が有利、戦術もシンプルでサーブでは決まらずラリーを続ける中で崩すのが基本、戦術にネットプレイは組み込まれずドロップショットはあくまで意表をつく技、現代的なフォアハンドで打つ選手はほぼいない (皆が横向きのテイクバックで打ち、オープンスタンスから体を捻じって打つ選手はほぼ居ない)等々。

道具やテニス全体の進化の影響を受け変わってきているとは言え、男子テニスのような対抗に継ぐ対抗により選手達自身が全体を進化させている状況とは格段の差が生じてしまっていると思っています。(あくまで素人の感想ですが。。)

女子選手のプレイの方が我々一般プレイヤーに近い?

筋力や体格が我々一般と大きく異なる男子プロよりも女子選手を見る方が参考になると言われたりしますし、実際、女子選手を見ていると我々一般プレイヤーがボールを打つのに打ち方なども近いと感じるのも事実です。

ただ、この「似ている」と感じるのは、上で述べた「20年前から進化してきている男子テニス=現代的なテニス」に置いていかれている状態を示していると言えます。

tennis player

男子選手のスイングは参考にできるのか?

できます。

男子選手の打ち方は “現代の道具を前提とした現代のテニス” だと言えるからです。

ただし、我々が普段触れている、教わっているテニスとはかなり違ってた情報に基づいてスイングが成り立っているという点を理解する必要があります。

よく雑誌でプロ選手の打ち方が解説されていたりしますが、これらは「普段我々が触れているテニスを教えるための情報や教え方に、プロ選手の打ち方から一部情報を”ポイント”や”コツ”という名で抽出し付け加えたもの」だと思っています。本来知るべきは進化してきているテニスの情報、男子プロ選手がどうやって体を使いボールを打っているかという情報 (現代テニスの研究結果に伴う情報) ですがそれらを我々が見聞きする機会は殆どありません。

実際、雑誌に載るコツを私たちが参考にしても目に見えて上達はしないのは皆が感じているでしょうし、海外のテニスアカデミーに1年でもテニス留学すれば世界レベルの研究に基づく最先端のテニスの情報を理解できるという想像はつくと思います。(レベルの高い相手と練習できるとか以前に。何かが特別なことを与えてもらえるといった魔法でもなく。)

私たちが普段接しているテニスやテニスの情報は上達という面では厳しい状況にあるのです。

男子選手のスイングやプレイを参考にするなら

繰り返しになりますが、見た目をマネして再現しようとするのは自身で創意工夫できる創造性の強い子供ならともかく、大人がやってもほぼ意味はありません。かといって「現代テニスとは」といった情報を簡単に教われる環境にもありません。

選手のスイングを参考にするのであれば、まず「共通点」を探すことからだろうと思います。

プロ選手のスイングは個々に特徴がある、それぞれに違うように感じるかもしれませんが、多くの点で共通した部分があります。

人の体の機能、仕組み、構造は基本的に皆同じです。走り、止まり、投げる(腕を振る)という動きを考えれば、これらをスムーズに行うための体の使い方は共通します。プロ選手のスイングは個々の技術以前にこれら基本的な原則の上に成り立っており、我々も同じようにスイングできるという根拠になります。直接的にその情報を知る術がなくても、色々な選手の打ち方を見て共通点を探すことで理解を深めていくことができます。「この選手とこの選手はこの時点の関節の曲がり具合が近い、つまり筋肉をこう使っているわけか」と日常でも自分達が行っている動作と結び付けて考えられます。

体の機能や仕組を理解し使い方を学べばボールを打つのも楽になります。と言っても解剖学といった専門的な知識が必要な訳でもありません。簡単な理解で十分です。例えば皆がよく口にする”腕のプロネーション”は手首が回転していると考える方がいますが手首の関節に回転する機能はなく上腕(肘と手首の間)の2本の骨が捻じれることで起きる機能といったものです。

見た目ではなく、その動き・スイングを起こしている体の動きの方を理解しようとする。私たちが普段触れている“フォーム(形)にこだわる教え方”とは大きく違いますね。

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