トップスピンをかける (プロネーション) 2

前に向かってラケットを振る中でトップスピンをかける

プロネーションでスピンがかかる理屈をもう少し具体的に書くと、グリップの後方から追従してきたラケットヘッドがグリップ側を追い越す際、打ち出し方向にグリップ側からまっすぐ進んでいたラケット軌道は、ヘッド側に遠心力が働き体から離れていく中で、外側に引っ張られる手と腕は、“前腕を回転させること (プロネーション)” でこれに対応しようとします。

動画: フォアハンドのスイング、プロネーションとトップスピン

体の回転に伴い、脱力状態とラケットの加速とラケットに働く慣性の力により、ラケットはスイング方向にまっすぐ進んでいきます。ただ、ラケットヘッド側にかかる遠心力(※) とヘッド側の加速により腕は外向きに引っ張られ、手の位置を追い越して前に進もうとするラケットに応じて、前腕を軸に腕は内向きに回転(プロネーション) しラケットヘッド側が上方向に持ち上がってきます。

フォアハンド プロネーションでトップスピンがかかる1

フォアハンド プロネーションでトップスピンがかかる2

このラケットヘッドが持ち上げる動きは腕全体でラケットを上向きに持ち上げている訳ではなく、前向きにスイングする中でラケットに引っ張られる形で起こっていることなので、スイングスピードが落ちることを防げます。ラケットヘッド側は上方向に持ち上がりながらも前向きに進む事は止まらないことが分かると思います。

なお、付け加えると、テイバックから振り始めで、ラケットヘッド側が遅れて後ろから追従する際、前腕は外向きに捻れ回転することでプロネーションとは逆向きの回外(スピネネーション)も起きています。逆向きに捻れていることがその後のプロネーションにも繋がると思います。プロネーション単体で作用している訳ではない、これもいわゆる“運動連鎖” と言えます。

スイング開始時グリップ側から引かれるラケットはヘッド側がスイング方向の真後ろから追従する

フェデラー選手のフォアハンド、スローモーション動画

フェデラー選手のフォアハンドをスローモーションで見ると、前に向けてラケットを振っている中で途中からラケットヘッドが起きてきているのが分かります。それはプロネーションを通じて起きているものです。

ナダル選手のストローク練習


ナダル選手のストロークを後ろから見てみると、独特の振り上げるフォロースルーもありますが、それを踏まえても、ラケットをスイングしていく打ち出し方向・角度は一般にイメージするよりもはるかに “水平に近い” のが分かると思います。つまり回転をかけるからといってラケットを上向きに振っていては相手に向けて強くボールを打つことができないということです。

マレー選手のストローク練習

マレー選手を見ても同様に打ち出し角度は “水平 + α” といった所です。身長が190cmありますが画像から打点の位置を計算しても90cm~100cmの間といった所で我々と20cm程の違いだけ、つまり “5度”程度上向きに打ち出すだけでネットの2倍の高さを通せる計算は同様に当てはまると思います。

なお、フォアハンドのグリップの厚さにより打点の位置が変わってきます。グリップが極端に厚い場合はかなり前方、薄くなる程打点の位置は体に近くなります。つまり、グリップが厚くなることで打点が前方になることで加速したラケットヘッド側がグリップを追い越すタイミングが遅くなるということです。

要は体の使い方やスイングは同様でも、グリップの厚さによって打点の位置が変わるだけなのですが、いわゆる「ヘッドを “前方に” 走らせる」イメージを強く持ちたいのであれば、グリップはセミウエスタン位で握る方がこれを実感しやすいと思います。実際、グリップが比較的薄めなフェデラー選手やナダル選手は振り始めに後ろから追従したラケットヘッドが加速してグリップを追い越し前方に進んでいく動きをスピンの発生に活かす打ち方をしています。

※ナダル選手のグリップは決して厚くありません。合理的な打ち方によって回転をかけているのだと思います。

逆にウエスタン以上に厚いグリップを用いる際は、インパクト以降、ラケットヘッドは前方に進みにくく、フォロスルーの中上向きに持ち上がる動きになりやすいと思います。インパクト後でボールには接触していないため直接的なボールへの影響は出にくいのですが、ウエスタン以上に厚いとされるグリップで打つ人が回転はかかるけど前にボールが飛んでいかないのはこの辺りが関係しているはずでで、昔風に言えば、肘から先を内側に巻き込んでくる “ワイパースイング” の傾向が強くなるものです。(打ち方にも原因がある場合が多いですがラケットを加速させづらい要素がある気がしています。)

今回のプロネーションでスピンをかけることもワイパースイングの一種と言えるのですが、昔風のワイパースイングがインパクト前後で行うのに対し、今回のものはスイング開始からヘッド側がグリップ側を追い越す直後にインパクトがあるようなイメージです。(ラケットヘッドが遅れた所から前に出てきて加速する過程にインパクトを置く。) 後者の方がよりスイングスピードを活かせより有効的にボールに影響を与えられるだろうと考えています。

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