フォアハンドにおけるプロネーション

フォアハンドでトップスピンをかける

フォアハンドやバックハンドでストロークを打つ際、トップスピンをかけて打つのが基本とされますが、色んな意味で「誤解がある」と考えています。

まず、トップスピンをかける際は「ラケットをボールの下側から上側に向かって振ることでかける」というイメージが広く浸透していると思います。トップスピン導入の練習ではラケット全体を腕で持ち上げるようにして回転をかける練習をやりますね。

ラケット全体を腕で持ち上げてトップスピンをかける

ボールに回転がかかる物理現象を理解する

ただ、ここでしっかりと認識すべき点は、

『ボールの一方の端に中心よりも強い力が偏ってかかれば回転がかかるというだけで、その物理現象を起こすための手段は問わない』

という点です。スピンがかかるのはシンプルに “物理現象” であり「こう打たないとスピンがかからない」といった考え方は不自然です。

ボールにトップスピンをかける理由は?

また、私が感じるのは「何故トップスピンをかけるのか?」という認識が曖昧なことです。

トップスピンをかけるのは、”ボールスピードが速い事で相手コートのライン内にボールが収まらないことを解消するため” です。しっかりスイングすることで自然と回転がかかりボール軌道が変化しボールがライン内に着地します。回転をこの位かけてこの当たりに着地させようと都度意識することなく、ただしっかり振れば自然とライン内に収まるという心理的に楽になる側面もあります。前述の通り、ラケットの運動エネルギーはボールスピードと回転量に分配されますので、ボールスピードを落としたくなれば回転量を抑える必要があります。(もしくはラケットスピードを更に上げてボールスピードと回転量の両方を上げるか) つまり、回転量は多ければいいというわけではないのです。

「ラケットをスイングする本来の目的はボールを飛ばすため」です。回転をかけるのはその補助的な目的と言えると思います。少々極端ですが、相手コートに収まるなら回転量は少ない方がいいとも言えます。トップスピンをかけて打つのは必須ですが、スピンをかけることが目的になってしまっては困るということです。

ボールを飛ばすためラケットはボールを打ち出す方向に振っていく

ラケットはボールを打ち出す方向、角度に対して振っていきます。回転をかける必要がなければ、打ち出す方向、角度に対して真後ろからまっすぐ90度のラケット面で当てていけば最も効率よく運動エネルギーを伝えられるはずです。
打ち出す方向、角度に対して真後ろからまっすぐ90度のラケット面で当てる

スイング途中でラケットを引き上げてスピンをかける

ところが、スピンをかけようと「ラケットを持ち上げようとする」動きは、この「ボールを前に飛ばす動き」とは方向が異なるので、”前へ振る” と “上へ振る” は同時に行えず、スピンをかけようと思う人はスイング途中で前から上にスイング軌道が曲線を描くケースが多く見られます。

スイング途中で前から上向きにラケットを引き上げてスピンをかける

スイング軌道を途中から変える訳ですから、“ラケットを振る度に軌道が違う = スイングが安定しない” という事は想像できますね。スピンをかけようと接触角度の小さい “薄い” 当たりにもなりやすいので、尚さら正確にボールを捉えることが難しくもなります。回転をかけようとすると思ったように飛ばない、飛び方が毎回違う、前に飛んでいかないというのはこういった理由が大きいと思います。前に振っているラケットを途中から上に引き上げてしまうとスイングスピードが落ち、運動エネルギーが減るので、結果的にボールスピードも回転量も落ちるということですから。

つまり、優先すべきはスイングする本来の目的「ボールを飛ばすために、相手コートに向かってラケットをしっかり振る」であって、スピンをかけるなら「前に向かってラケットを振りボールを飛ばす中で回転がかかる方法を考えないといけない」ということです。

スイングする目的はボールを飛ばすため、まずは打ち出す方向に向かって振るべき

この辺りは “皆、分かっているようで曖昧なままにしている点” だと思っています。スピン至上主義的な意識の人は特にでしょうか。ストロークを強くしたいと思うならこの矛盾を考えるべきだと思います。スイングスピードを上げれば運動エネルギーも増し、ボールスピードと回転量も相対的に増えますが、それはロスの少ないスイングができている上でのことです。

前述の通り、ボールに回転をかけるという事象を引き起こす方法は何でも構いません。前にラケットを振りながら回転もかけるという条件を両立する方法はいくつかあるでしょうが、1つはスイング角度を調整する方法、もう1つがプロネーションを使う方法かなと思っています。

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