トップスピンをかける (プロネーション) 1

トップスピンをかける方法

2)プロネーションを使う方法

前腕の回内 (プロネーション) を使う方法です。

プロネーションという言葉が一人歩きしておりボールの威力を増す秘密のように言われていますが、プロネーションは単に “前腕を内側に捻っている” 動作です。必要があれば人間は勝手にプロネーションを行います。

実際フォアハンドでラケットを振る際も無意識にプロネーションは使っています。プロネーションを使わずにラケットを振ると “いつまでもラケット面が返らずフォロースルーが取れない” からです。ただ腕を前方に伸ばすだけになります。(昔風のフォロースルーとも言えますね。)

a.プロネーションがないと

フォアハンドでプロネーションがないと1

フォアハンドでプロネーションがないと2

フォアハンドでプロネーションがないと3

腕や手に力を込めずにいれば、スイングした結果、手に引っ張られたラケットが “慣性の力” で自然と利き手と反対側の肩の方に巻きついていきます。その際プロネーションも自然と起きています。

b.自然と起こるプロネーション

プロネーションが加わったフォアハンドのフォロースルー

では、前に向かってしっかりスイングする中でプロネーションを使って回転をかけるという意味ですが、簡単に言えばプロネーションを行うタイミングです。

上の例は、主に “インパクト後” にプロネーションが起きていて “いわゆる手首が返る” 状態になっているものですが、これをインパクト前から起きるようにするものです。
このためには “脱力” もポイントになります。

ちなみにですが、脱力と言うのは “ある状態から力を抜く” というマイナスの事を差すのではなく、昔から言われる言葉で言えば “力むな” と同様に考えていいと思います。力みを増やすな、つまり普通で居ろということです。経験があると思いますが “力むな” と言っても改善されにくいので “脱力”というマイナス的な表現を使うようになってきたのだと想像します。英語で言えばどちらも “relax (リラックス) ” ですから、”脱力” と翻訳されこの10年程の間にキーワードとして輸入されたものかもしれません。

ラケットの動きから確認してみる

もう少し具体的に書いてみます。

前述の通り、ラケットはボールを飛ばすために “前” に振ります。ベースラインからネットの2倍の高さを通すための打ち出し角度は計算上 “5度”、水平よりほんの少しだけ上向きの角度に振るだけです。

スイング中のラケットについてですが….

慣性の法則により止まっている物体はその場にとどまり続けようとするし、動いている物体は進んでいる進行方向にまっすぐ進み続けようとします。

ヘッド側を立ててテイバックしたラケットは体の回転に伴いグリップ側から手に引かれ、その場に留まろうとするラケットと引く力が釣り合った際、スイング方向に向かって手 – グリップ – ラケット – ラケットヘッドの順で一直線になります。

状態を捻ったフォアハンドのテイバック

スイング開始でグリップ側からラケットは引かれラケットヘッドは後方から追従する

ラケットを引く力はラケットがその場に留まろうとする力よりも強いので、ラケットはグリップ側が先行し、ヘッド側はスイング方向に対して真後ろから追従していきます。

アニメーション スイング開始でグリップ側からラケットは引かれラケットヘッドは後方から追従する

ただ、ラケットヘッドはグリップ側よりも体から遠く、体を回転させながらスイングをしているので、ヘッド側は遠心力(※)により外に膨らんでいきます。

円周運動をする物体は中心から遠くなる程その速度は速くなります。体を中心とした場合、グリップ側とラケットヘッド側が同じ角度だけ動く際、中心から遠いラケットヘッド側の方が同じ時間で長い距離を移動しないといけないからです

中心より遠い物体の方が速度が速くなる

結果、最初は後方から追従していたラケットヘッド側はグリップ側よりも速度が速くなることで、スイング途中でグリップ側を位置的に追い越し、慣性の法則もあり更に前方に進んでいこうとします。

スイングによりラケットヘッドは加速し、グリップ側を追い越す

その途中にボールに接触するインパクトが約0.004秒間ある訳です。

インパクトの有無に関わらずラケットは止まりませんから、更に前方に進もうとしますが、腕の長さ以上に前には進めないので、腕に引かれることで進行方向を曲げ、体から離れる程加速ができなくなるので減速しつつ、非利き手の肩側に自然と巻き付いていくという流れになります。

プロネーションが加わったフォアハンドのフォロースルー2

この流れの中で言えば、ラケットのスイング自体は “ボールの打ち出し方向に向けてまっすぐ振っているだけ” です。つまり、何もしなければボールの真後ろからフラットに当たっているような状態になります。

これは、“ボールが飛ぶための運動エネルギーを最も伝えやすいスイング” であり、且つ “ラケットを加速させやすいスイング” でもあります。

前に向かってラケットを振る中で回転をかける

これは「現代的なフォアハンド」と言われるような打ち方によるものです。

では、前に向かってまっすぐラケットを振っている状態でどうやってボールに回転をかけるのか? というと 、そのヒントが “プロネーション” です。

※ なお、注意すべきは “プロネーションを起こす” のではないという点です。プロネーションをボールに威力を出す魔法のキーワードだと考える人は多いですが、”脱力 状態”でスイングしていればラケットが勝手に進んでいくのでラケットを持つ手は b図のように 自然とプロネーションが起こります。”起こす” 必要はないのです。

プロネーションが単体で起きる訳ではなく、関節が曲がり、腕が捻れるといった体の機能の中で起こります。前に進むラケットに引っ張られるから自然と関節は曲がります。人が意図的に関節を曲げるからスイングやフォロースルーが生まれるのではないのは分かるはずです。ただ、スピンをかける要素の中心になるのがプロネーションで起きる角度の変化だろうというだけです。

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