スイングする際にラケットに働く力

ラケットは “慣性の法則” の影響を受けます。慣性の力とは「止まった状態の物体は止まり続けようとするし、動いている物体はその運動をし続けようとする」というものです。

よく言われる例は、止まった電車が急に動きだした際や動いている電車が急に止まった際に立っている乗客が倒れそうになってしまう事ですね。

プロ選手のようにラケットヘッドを立ててテイバックしたとします。(なぜラケットヘッドを立ててテイクバックするのかはまた別の所で)

スイング開始によりラケットはグリップ側から手に引かれますが、止まったラケットには慣性の力が働くので、グリップ側が引かれてもヘッド側はその場に留まろうとします。

グリップ側はどんどん引かれ、ラケットが引かれる力とラケットが留まろとする力が釣り合った瞬間にラケットはスイング方向に向かって完全に倒れた(一直線)状態になります。

グリップは更に引かれてラケットは加速していくので、ラケットが留まろうとする力より引く力の方が大きくなるので、ラケットヘッドはスイング方向に対し、真後ろからまっすぐ追従していきます。

これが “ラケットを振り始めた際にラケットに生じる力” です。

続いて、手に引かれグリップ側から引かれたラケットは加速を続けます。その際、手の位置よりも体から遠いラケットには 遠心力(※) がかかります。

因みに「物理では遠心力というものは存在しない」そうです。
紐につけた物体を回転させた場合、動いている物体には「慣性の力」が働き紐に対して直角に直進しようとするが、紐が引っ張る力「向進力」により随時方向を変えさせられる。

つまり、円運動する物体には慣性の力と向進力の2つの力が働くが遠心力は存在しないということです。ただ、中心に向かって引く力とは逆向きの力が外向きにかかるように見えるのでそれを「遠心力」と呼んでいるようです。ただ、ここではイメージしやすいように(仮の存在として理解しつつ)遠心力という言葉も使うようにしたいと思います。
遠心力のかかったラケットヘッド側はグリップに引かれる軌道(振る方向)から外側にズレていきます。
体を中心とした円運動で考えた際、同じ時間で同じ角度を動くのであれば、手の位置よりも体から遠い位置にあるラケットヘッド側の方がより速度は速くなります。「距離 = 速さ × 時間」ですから、同じ時間でより長い距離を移動しないといけないラケットヘッド側の方が速度が速くないといけないからです。

手よりも速度が速くなったラケットヘッド側は、スイングの途中で手を追い越し、慣性の法則により更に前方に進んで行きます。

ただ、ラケットヘッド側が手を追い越しても、ラケットを手に持っている都合、腕の長さ以上に前に進むことはできないので、手に引かれて進む方向を変えられ、腕を追い越して暫くは保っていた速度を徐々に落として、利き手と反対側の手の方向に巻き付くように進んで行きます。これがフォロースルーです。

ここでは「スイングする際にラケットに働く力」を確認しましたが、これらを理解するのと同時に、「ラケットをボールに当てようとする体の動き (手や腕によりラケット操作) が含まれていない」という点を理解する事がとても大切です。

つまり「ラケットは引かれる事で加速し、慣性の法則により “自然と” 安定したスイング軌道を描く」ということです。

ラケットをボールに当てたい、強く打ちたいという人の操作が、本来、安定した軌道で自然と動いていくはずのラケットの動きを阻害し、結果、都度スイングの軌道がブレることで安定してボールを捉えることができなくなってしまいます。

スイングではラケットを振るわけですが、止まった状態のラケットを加速させて以降はラケットが自然と進もうとする力を邪魔しないように、むしろそれを補助できるよう考えるのが大事になります。