ボールを打つこととスタンスの関係

本来、ボールを打つことと”スタンスの違い”は関係しない

フォアハンドをスクエアスタンスの横向きのテイバックで打つ場合と、オープンスタンスで打つ場合を比べると「オープンスタンスの方がスクエアスタンスよりも優れている」と考える方が居ます。

また、プロ選手や上級者がオープンスタンスを多用する様子を見て「スクエアスタンス→基本・初心者、オープンスタンス→上級者」と認識されていたりもします。

個人的に、この2つの考え方は明確に「誤りだ」と否定できます。ボールを打つ際にスタンスの違いで差が生じるという考え方自体が誤った認識だということです。

現に、初心者の時からスクエアスタンスの横向きのテイバックで打つ打ち方を身に着けてきた方がオープンスタンスに興味を持ち、オープンスタンスを用いてボールを打つようになってもまず間違いないなく“打つボールの球威やスピードは変わらない”はずです。

厚めのグリップで打つフォアハンド 1

オープンスタンスを使うことでボールに追いつきやすくなったり次のボールへの対応がしやすくなったりするかもしれませんが本来の思惑とは違うでしょう。これは慣れという点は差し引いても、スタンスの違いで差が生じる訳ではないからです。

男子プロテニスに見るテニスの進化

男子プロテニスの歴史は進化の歴史で、新しい強力な存在が出現するために全員でその存在に対抗するために進化し、その存在の武器自体も自分達の物として来ました。今のトッププロを見れば殆どが200km/h超のサーブを打ち、皆がそれをリターンでき、物凄く回転のかかったストロークを延々と打ち合うことができます。

(トップスピンをかけて打つという変化はあっても) スクールで教わるフォアハンドの打ち方が30年前から変わらず続いていると書きましたが、男子テニスの進化や道具の進化を考えればそれだけ長い間、テニスの研究が進んでいない訳がありません。

トッププロのテニスは体格や筋力、テニスの費やした時間や能力、技術の違いによるもので、我々一般プレイヤーがマネしてもしようがないと言う意見がありますが、例えば、プロ野球のエースピッチャーと少年野球のピッチャーの投げ方が全然違うということはありません。

プロだろうが子供だろうが体の仕組みや機能は同じ、体格や筋力量は違ってもボールを投げるという動作に対する体の使い方は同じです。

テニスも、厳しいトッププロの世界で長年かけて精査・進化されてきたボールの打ち方(例えば現代的フォアハンドの打ち方)は 極めて効率的に体を使っている”はずで、それは“テニス初心者の方でも最初から用いることができる内容である”はずです。

要は「身近に”現代的なフォアハンドの打ち方とそのための体の使い方”を教えてもらえる環境がないから誰もやり方を知らない。教える側も昔自分が教わった内容しか知らず、それが周りの共通認識だから教えるための情報がずっと変わらないまま」ということです。

また、日本人は英語が苦手なので海外でテニス情報を直接知ろうとはしないし、海外からの知識や情報を知るのも他の誰かが日本語に翻訳してくれた内容を介して知るだけです。

結果、昔からの指導内容が精査されることもなく変わず続いているし、日本だけでしか使われてない情報や誰かが間違って翻訳して伝えた情報が”通説”のように広まっていたりします。

※例えば、今でも使われる”エッグボール”という言葉は海外にはないし、最近よく聞く”脱力”も 昔から色んなスポーツで言われる “リラックス” が、言葉を変えて目新しく広まったものだと思います。リラックスと言われればイメージできても脱力と言われれば上達のための何か特別なものだと思ってしまいます。

トッププロがボールを打つ様子を見ればスタンスの違いが影響しないことが分かる

トッププロがボールを打つ姿を見てみると、スタンスがスクエアだろうとオープンだろうと変わらず同じようにボールを打っているのが分かります。

加えて言えば、ボールを追いかけ1球毎に打つ場所、ボールの種類、打つ高さや打つ球種が異なる状況で “両足をこの位置に置いたオープンスタンスで打つ練習をする意味” がどれほどあるかということです。全く同じ状況なんてまず起こりませんからね。

西岡選手のフォアハンド練習

手術でリハビリ中の西岡良仁選手の練習風景です。

イスに座った半身の状態で上半身中心にラケットをスイングしボールを打っていますが、これを見てテニスでよく言う「手打ち」だと思う人はいないと思います。プロ選手の練習だとは言え“上半身と腕でラケットを振っているのにスイングスピードは普段打っているのと変わらないように見える”でしょう。

ラケットを使いボールを打つということ

ラケットでボールを打つには「人が皆同じように持っている体の機能や仕組みを効率よく使うこと」とであり、体の仕組みや機能が同じであることで「体格や筋力、運動能力に関係なく、皆が同じようにできる動作」です。

ボールを投げるといった腕をしっかりとスムーズに振ることが “特別な動作だ” とは思わないでしょう。ラケットでボールを打つという状況がテニスを難しく特別に感じさせています。

練習では『体全体を使って打つ』『運動連鎖で打つ』とは言っても、ラケットを持ち、振るのは間違いなく腕の動きによるもの”です。

体全体とは各部の機能の組み合わせであり、腕だけで見れば、”その機能や仕組みをうまく使えていなければラケットはスムーズに速く振れない” わけです。

“体全体を使って”という言葉に引きづられて各部の機能や動きに目を向けない方が殆どだと思います。

体の各部の機能を理解し、しっかり使えるから、文字通り “腕だけでラケットを振っても” 普段打つのと変わらずスイングできるようになり、体の各部がしっかり機能することを組み合わせたスイングもできるようになり、その結果がプロ選手のように、“スタンスが何であろうといつも同じようにラケットがしっかり振れるようになる” ということです。

逆に言えば、スタンスが何であろうと同じようにスイングできるから“ボールを追った状況や打った後のリカバリーに合わせて適切と思うスタンスを選択することができる”ということになりますね。

どうすれば体の各部の機能や仕組みを理解し使えるようになるのかを理解するのは難しいと思います。普通に腕の機能だけでラケットをしっかり不要とすれば周りからは「手打ち」に見えるようになりかねません。

これらを普段の環境で教わることも難しいと思います。

自主学習するポイントとしては、やはり「ラケットでボールが飛ぶ理屈」を理解することであり、ラケットが加速し慣性の力で安定的に動いて行こうとすることを補助できる体の使い方になると思います。

繰り返しになりますが、トッププロがやっていることといっても、基本部分は誰もが持っている体の機能や仕組みを使うことですから運動能力やセンスは関係しません。必要なのは興味を持ち、理解し、再現できるようになることです。

スポンサーリンク

フォローする