スピンがかかるガット・ラケット

トップスピンのかかるラケット、ガットのおすすめは?

現代の硬式テニスはトップスピンをかけてストロークを打つのが基本とされるので、初心者の段階からトップスピンをかけて打つ前提でその方法を習います。

また、プロ選手が強烈なトップスピンをかけて打っている様子を見て自分もあんな風に打ちたいと多くの人が思うはずです。

そこで行き着くのが「トップスピンのかかるラケット、トップスピンのかかるガットはどれだろう」という考えです。

特に学生の方など、実際に試合で対戦してトップスピンのかかったボールの効果・打ちづらさを体感している方はスピンの対する欲求は強いかもしれません。

道具でスピン量は増えるのか?

はっきりした根拠があるわけではありませんが道具による効果は”誤差の範囲”だと思います。

また、道具による効果を期待するのであれば自身のテニスのレベルを上げる方がよほど効果を実感できるのは間違いありません。

2つ例をあげます。

スピンがかかるラケット・スピンがかかるガットを考える

1つは、各メーカーからスピンがかかる(かけやすい)とうたったラケットやガットがたびたび発売されていますが、本当に期待に足る効果があれば、ある1つがベストセラーになり、他の同様のラケットやガットは全く売れない状況になると推測されます。テニスに限らず商品市場というのは突出した費用対効果があるものが出れば他は全く売れなくなります。

実際はそういった状況にはなりませんし、ガットであれば“三角形・四角形・五角形・八角形・丸型”“素材の違い・素材の編み方の違い・表面加工の違い”と各社・各製品仕様がすべて違います。裏を返せば “スピンをかけるためのこれという方法が見つかっていない” ということです。もっと言えば“そんな方法はないという証明だ”と言えるかもしれません。

テニス ガット・ストリング 断面 多角形

ラケットもストリングパターンを減らした“目の粗い”ラケットがスピンがかかるとうたい色々発売されましたが、最初に力を入れて宣伝しスピンラケットを発売していたWilsonですら15×16と極端だったストリングパターンを18×16 等に変え、メイン製品とは別ラインで出していたものをメイン製品のラインの一部(軽量モデル)に組み込んで、選択の余地がない状態で残しているだけです。HEADやPrinceの製品も売れているという話はまず聞きません。

steam99s

ストリングパターンが一般的な構成と異なることで使い勝手に影響が出る上に実際に使ってみても体感できるほどの差が得られないのが原因だと思います。

ラケットを変更して(実際はそんなに増えないでしょうが)仮に10%回転量が増えたとしても、すぐにその違いに慣れてしまい、使い勝手の悪さや打感の違いの方が気になってしまうからでしょう。

プロ選手が使っている道具を考える

もう1つはプロ選手が使っている道具です。

プロ選手が市販のラケットとは仕様や素材、作り方等が異なるラケットを使っているのは割と知られていますが、殆どの選手が16×19や18×20といった一般的なストリングパターンを使っています。まれにそれらと違う仕様で使っている選手が居ますがスピンをかけるためと言うより打感の調整のためだと予想します。

ガットについても同様です。前述のようにスピンがかかるとして様々な多面体の断面を持つガットが発売されていますがそういったガットを使っているプロ選手はまず見ません。国内など契約メーカーとの共同開発で使用する選手はたまに居ますが多くは長続きせず、ほぼプロモーションに付き合ってる印象を受けます。

トッププロが使っているガットの情報がたまにネットで見かけられますが、ごく普通なロングセラー商品を使っている場合が多いです。(ラケットのように名前は市販品と同じでも中身は違って多面形なんてガットは使わないでしょう。)

ガット

そもそもプロ選手はラケットもガットもあれこれ変えたりしないと思います。

同じラケット、同じガットを長く継続的に使うからこそ今の自分の状態が把握できるでしょう。

市販の製品にも答えは出ていない。トッププロも使っていないということは?

トッププロのスピン量に憧れて道具を変えたいと思っているのに当のプロ達はそういったラケットもガットも使っていない。

この状況を考えれば答えは見えていると思います。

“プロ選手のように打てないから道具を変えることを考える”というのは分かります。

ただ、その希望に応えられるラケットもガットもメーカーは提供していないという状況の方が問題です。スピンをかけたいという気持ちをマーケティングに利用されている状況だと言えます。

考えべきはプロ選手のように “自分が使いやすい道具を長く使うこと” だと思います。テニスのレベルを上げるにはそれは重要なことです。

ボールを飛ばす回転をかけるのはラケットの運動エネルギー、当たり方によってボールスピードと回転量に分配される

ボールを飛ばすのはスイングによって速度を得たラケットが持つ運動エネルギーです。その大きさは「1/2 x ラケット重量 x ラケットスピード ^2 (2乗)」で計算されます。ラケットとボールが接触することでその運動エネルギーの一部がボールに伝わり、ボールスピードと回転量に反比例的に分配されます。

手に持っているラケットは1種類だけなのでラケットの運動エネルギーを大きくするには“ラケットスピードを上げること”です。

また、ラケットとボールは固定されていないので、接触で伝わる運動エネルギーはその一部ですし、接触の仕方、ラケットやガットの仕様によって伝達ロスが生まれます。しなる・歪み・たわむラケットやガットはロスですし、端的に言えば“ラケットが正確にボールに当たらなければ大きな伝達ロス”です。

ラケットスピードを上げればいいと言っても、単に速く振ろうと思っても速度上昇はたかが知れていますし力みは正確に当てるという面ではマイナスにも働きます。

また、スピンをかけようとラケットをボールの打ち出す角度を上回る角度で上向きに振り上げれば当然“運動エネルギーの大きな伝達ロス”にもなります。

教わっているボールの打ち方・スピンのかけ方に限界がある

これらのこと踏まえて考えると、普段教わっているボールの打ち方、スピンのかけ方の方に限界があるのだと思います。限界が見えていることから来る“道具への期待”であり、“筋力を増やす・体幹を鍛えるといった基本部分を飛び越した(現状の自分を肯定した上での)発想”になっているのでしょう。

限界と言っているのは「良い・悪い」ではなく、テニスも道具もどんどん進化してきている中で私たちが教わるボールの打ち方、スピンのかけ方が20年以上前からほぼ変わってないのは何故かということです。

“ラケットをスイングするのはボールを飛ばすため”ですから、“打ち方”からではなく、“ボールが飛び回転がかかる理屈の方から”その方法を考えるべきだろうと思っています。

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